使い勝手の改善と進化速度、選択肢は別物だ

超ッ速、デカ画面の未発売Android端末:iPhoneにはもう戻れない! HTC EVO 4Gを使ってみた - ITmedia Mobile という記事を読んだ。この記事で筆者はAndroidのsimejiという入力メソッドを使うとコピー範囲の選択が容易だということを説明している。説明用の動画を見ると、矢印キーでカーソルを移動し、Sキーで範囲選択を開始し、矢印キーで選択範囲を変更している。そして、このことについて次のように書いている。

こうした使い勝手の改善がアップルからしかやってこないのと、野良アプリも含めて自由な開発プラットフォームからやってくるのとでは、どちらが進化速度が速く、より多くの選択肢をユーザーもたらすかは私には自明に思える。

筆者が言いたいことは良くわかる。しかし、アップルが矢印キーとSキーによる範囲選択を採用する可能性はほとんどない。それはわかりにくく、モーダルな操作だからだ。Apple Human Interface Guidelines の「Modelessness」の項にもあるように、アップルはユーザーがある操作に限定され他の操作をできないようなモードに入ることを極力避けようとしている。

つまり、アップルにとって、矢印キーとSキーによる範囲選択は「使い勝手の改善」にはならない。

iPhoneのWebブラウザ(Safari)では、文章を長押しすると範囲選択され、すぐ上に「コピー」というメニューが表示される。これなら3歳児でもコピーができる(少なくとも3歳になる私の息子にはできる)。いくら進化の速度が上がったり、より多くの選択肢が提供されたとしても、3歳児が使えなくなるならば、それは使い勝手の改善にはならないと私は思う。

iPhoneAndroidは、目指している方向が決定的に違うのだと思った。